「まぁいいから、話は中でゆっくりしましょう」

いつまでも玄関先であたふたしている私を落ち着かせる母と、いつまでも私の腰に手を回している賢心に連れられてやっと居間まで辿り着いた。

「おかえりお姉ちゃん」
「おぅ、雪乃やっと来たか」

父と妹は昼間から優雅にお酒を飲んでいる。

「ほら!2人も一緒に」

「すみません!僕、車なので!」

「そっかそっか、雪乃は飲むか?」

「いらない...」

「どうして不機嫌なんだ?賢心がお前の事
貰ってくれるって迎えに来てくれたんだぞ」

そうだった!!さっきそんな事を言っていた!!

「ちょ、ちょ、ちょっと待って!確認ですが.....
いつ、そんな約束したかな??」

「幼稚園の頃に言っただろ!覚えてないの?」

賢心だけじゃなく、父も母も妹もみんなで
私を凝視している。

「ぇ……」