賢心がこの病院に来てしまった以上、
秘密がバレるのも時間の問題だと思う。

だって賢心は、心臓血管外科医だから……
それに、循環器内科の涼くんとは友達だから……

もう知っているのかもしれないのに、
何故か必死に隠してしまう。
賢心に嫌われたくない。

強くていつもそばで守ってくれる私だからくっついて来てくれてたのに、今の私には、無理だ…


「やっぱり、降ろして…」

「え?もうすぐ着くよ」

「…買い物して帰りたいから」

「じゃあ俺も一緒に…」

「1人でいいの!もう子供じゃないんだから!」

「……もう子供じゃないんだよ。俺は、あの頃みたいに雪乃に守ってもらおうなんて思ってない」

「‥……」

「雪乃を守る為に、医者になったんだから」

「‥…ぇ…‥…」

「お店着いたよ!買い物したいんだろ?」

「‥……ぅ、…やっぱり、家帰る……グス…」

鼻をすすり涙を堪えて、また強がって……

「はぁ~!?しょうがないなぁ……
早く帰ってイチャイチャしたいのか?」

無言で首を横に振って、また強がって……

「俺はしたい!」

強がる私の頭をポンと撫でた賢心は
2人の住むマンションへと車を走らせた。