「お疲れ様~」

「お疲れ~。あれ!?雪乃、あのイケメン!!」

「ん?」

綾香の指差す方を見ると、リハビリ室の入口からこちらに向かって大きく手を振るのは、賢心……

「えっ!!ゃ、やだぁ」

その場にいたリハビリのスタッフ達からクスクスと笑い声が聞こえた私は、慌てて知らんぷりをして逃げようとした時、

「雪乃~~!!」

奴は大きな声で名前を呼んだ……

仕方なく小走りで入口に向かい賢心の腕を掴むと
少し離れた所まで連れて行く。

「ちょっと!みんないるのに大きな声で名前
呼んだりしないでよ!」

「もう患者さんもいないからいいかなぁと
思ったんだけど…」

「まだ職員がいるでしょう!ここは日本ですよ!
今までオーストラリアの美女と院内でイチャイチャしてたのかもしれないけど、もうそんな事出来ないんだからね!」

「ふふっ。そんな心配してたの?」

「えっ……違うょ…」

「ここでイチャイチャ出来ないなら、早く家に
帰ろう。車で待ってるから」

「え?私、帰りは1人で帰るって…」

「だって俺ももう帰れるから」

「……帰っても、別にイチャイチャしないけど…」

「それは俺が決めるから」

「……なにそれ」


そしてまた大人しく言う事を聞いた。