ブルル!ブルル!ブルル!

目覚ましでセットしていた時間の5分前。
鳴り続けるスマホの画面を片目だけ開けて見てみると、【賢心】の文字。
渋りながら電話に出て文句を言ってみる。

「んぁ~~もぉ~~!あと5分寝れたのにぃ!」

「おはよう、雪乃」

文句を言ってみたけれど、寝起きから賢心の声を
聞けた事に自然と顔は綻んでいた。

なんだろう…この幸福感。

「…おはよう」

「雪乃、朝ごはん作ったから俺の部屋においで」

「え!?ぁ、朝ごはん!?でも、まだ布団の中で
何も準備してない…」

「そのままでいいから、待ってるよ」

そのままと言われても……
パジャマで!?ボサボサの髪の毛で!?
ノーメイクで!?

寝起きから今日も頭の中はパニック。

とりあえず顔だけは洗い、玄関のドアを開けて
誰もいない事を確認し、早足で隣の家のインターフォンを鳴らした。

ガチャ!

「どうぞ」

色々と恥ずかしさが溢れる私はパジャマ姿のまま
玄関で立ち尽くしていると、賢心は微笑みながら
抱きしめてきた。

「な、なに…」

「寝起きも可愛くて、思わず」

そう言って何も逆らえなくした賢心は私の手を
握り中へ招き入れた。

するとオシャレなダイニングテーブルの上には
本当に朝食が用意されていた。

「ぅわぁ!!これ賢心が作ったの!?」

「そうだよ。さっ、食べて仕事行くよ!」

「うん!いただきまーす!」

私はまた簡単に言うことを聞かされていた。