…………僕、直人さんを笑顔にしたい……どうすれば……。

「…………直人くん。もう一度、お兄さんに謝りに行こう」

陽菜の言葉に、直人さんは「え?」と驚いた顔をした。

「多分、直人くんのお兄さんは複雑な気持ちなんじゃないかな……悲しみ、怒り……そして、直人くんを傷付けてしまった罪悪感……実は、私……1回だけ幼なじみと喧嘩したことあるんだ……私が余計なことをして、幼なじみを怒らせたんだ……」

そう言って、陽菜は悲しそうに笑う。

「……その時、謝っても口を聞いてくれなくて……それから、罪悪感に苛まれてさ……それは、幼なじみも一緒だったみたいで……時間を置いてから、謝ったら……許してくれて、『俺も悪かった』って幼なじみも謝ってくれて、仲直りしたんだ……だから、大丈夫。直人くんのその気持ち、今なら伝わるよ」

陽菜の言葉に、直人さんは陽菜を見つめた。

「……でも……」

「怖いなら、私たちが――」

「……直人」

陽菜が何かを言いかけた時、どこからか声が聞こえてきて僕らは一斉に声がした方を向く。

そこには茶髪の僕よりも背の高い男性がいて、男性は直人さんを見つめてた。

「……兄ちゃん……」