灯台の横には
海の見えるカフェにリニューアル
したであろう建物や、
冬枯れでも
花が植えられたガーデンがある。
「なあー?なんか聞こえへん?」
入江の外に燃える藁の舟。
それを見送って程なく
展望広場に、男性陣が
何やら準備を始めた時だった。
「いゃあ、ほんまやわぁ。ほら
ここ下、何かあるんちゃう?」
「昔は下に降りれて海まで、いけ
ましたよ。まだ行けますかね」
灯台の下から
女性の叫び声が聞こえた。
気がする、3人の女達が、
ふと見ると
下へと続く獣道と、
看板がみえた。
海岸に昔あった遊園らしい。
「藁火、まだ燃えてるし、男の人
らが、朝ごはん用意してる間に
海で火ぃ見たいわ。あたし。」
「そやねぇ、古道の獣道より
酷い事あらへんやろし、
ちこっと降りてみはる?」
チョウコは、
有刺鉄線が囲う柵が
空いてる場所をみつけて、
キコと器用に入っていく。
「あ、チョウコさん、キコさん」
そのあとを、
長く海を見ていたリンネが
慌てて追いかけた。
枝林のトンネルは
古道に比べると
些か物足りなさを感じる程
広葉樹らしい明るさを
感じさせるから、不思議だ。
「ボロボロやな。」
先頭のチョウコが朽ちた浴槽を
見つけたすぐ後に
かつては
アーチだったであろう
緑が絡まった鉄の造形物を潜る。
「たいしたもんやねぇ、
ちあゃんと
階段もついてはるわぁ。」
キコが、錆びれた手すりに
手を乗せてみる。
かなり草が茂るが、
それでも道は残っていて
目の前に、急な
コンクリート階段が出てきた。
『タイシーーーーーーー!!』
「「「!!!」」」
ハッキリと、下から声が
聞こえて、互いに見合わす。
「助けて?ですかね。」
木々のトンネルの向こうを
伺うように、リンネが
首を伸ばす。
急な下り階段を少しずつ
さらに3人が降りると、
いきなり片側が開けた。
断崖だ。
「崖やん!!バババーーン♪
バババーーン♪
ダダダッ、ダダ、デデーン♪」
チョウコが
サスペンスお決まりの音楽を
口ずさむ。
「いゃあ、ほんまに、ガラって
足踏み外したら、まっ逆さま
に落ちはるわぁ。気ぃつけな」
木々のトンネルが
急に切れて、片側が崖の
遊歩道に変わったのだ。
青みがかった
独特の岩場が始まって
まさに景勝地らしい雰囲気が
してきた。
「自然盆栽が生えていそうな
見事な崖っぷちですよね。」
「リンネさん、それおかしない?
ここは絶対サスペンスやん!」
慎重に降りていくチョウコが、
最後尾のリンネに
振りかえる。
海岸美日本一に選ばれた
約3億年前の
緑泥青石でできた断崖は
世界的にも
稀に見る古生代の岩の崖で。
時間にして
さ程かからず、灯台から
その独特な姿の
崖沿いに
3人は海岸に降りていた。
「ほらぁ、リンネさん!
ここから よお、燃えてはるのん
見えるわぁ。蜃気楼みたいに」
砂浜の海岸線とは全くちがう
龍の鱗のような岩の風景
その向こうに、
チロチロと光が見えるのを、
キコが示した。
燃え尽きれば、
灰になって 海風に飛ばされ
海に消えるだろう舟。
「なあ、あたしな、きっと今日
の海。忘れへんわ。ずっと。」
青緑色の鱗みたいな岩場。
まだ潮が満ちていない
冬空の下、
間近に物凄い波の音を聞きながら
チョウコの言葉に
キコと、リンネも
「そやねぇ。」
「わたしもですね。」
と答えて、、 しんみり
とはいかず。
「やっぱりなんか聞こえんで!」
チョウコが崖の奥に耳を傾ける。
『ダイシーーー、、
、ナイデショーーー、、』
3人で声がする奥にと
視線を探らせると、
今度は海側に周りながら崖に
這うように
遊歩道らしき手摺が続いて、
その入口、
朽ちた看板には、
落石工事中とあるのを
見つけた。
「おーい。誰かいてるんー?!」
『ココ、、デルト、、』
「「「!!!」」」
チョウコの声掛けに
何か応答があるのを聞くと
そのまま
見つけたボロボロの
遊歩道にチョウコが、急いで
向かっていく。
「あ!チョウコさん!まって!
この先に、洞窟があって、
その道だったんでしょうけど」
リンネが止めるように
叫んでもチョウコは
止まらず
抜けて海に出る遊歩道を
仕方なくキコも追う。
「めちゃくちゃ朽ちてるやん!」
「ていかぁ崩落してはるわぁ!」
断崖絶壁に張り付く
廃墟遊歩道。
進むほど惨状は ひどくなって、
「怖いわーーー!!」
とうとうチョウコも叫んだ。
舗道というより
バラバラの鉄屑を
つたって、
乗り越えて、
足を岩に取られながら進んだ
時、
なんとか声の主が現れた。
「Help me!!助けて!」
女の人の声が近づく。
とわいえ、
足元から一時も気を逸らせれない
「うわぁ、ちょっとえげつない
場所ちゃいます?あかせんわ!」
キコがたまらず
足ばを見つけてまた、叫んだ。
と、
陥落した遊歩道の向こうに、
女性の姿を見つけた。
「ここ!!Help !!」
向こうも3人に気がついて
思いっきり手を振ってくる。
驚いたことに相手は
白装束に金剛杖の、
遍路の姿。
「巡礼者さんですか?!」
後ろのリンネが叫ぶ。
「オヘンロで 迷いました!
マイケル・楊っていいます。」
相手が何故かびっくりして
答えてきた。
「 電話をかけて下さい。
マイケル・楊が戻ったと。」
海の風に煽られてもはっきりと
ことばを伝わってくる
その名前に
今度はリンネが反応した。
「え、今、名前。なんて」
尚も相手は必死に続ける。
「 迎えにきて下さい!わたしは
ここ!マイケル・楊! いい
ます!Hongkongersデス!!」
海の見えるカフェにリニューアル
したであろう建物や、
冬枯れでも
花が植えられたガーデンがある。
「なあー?なんか聞こえへん?」
入江の外に燃える藁の舟。
それを見送って程なく
展望広場に、男性陣が
何やら準備を始めた時だった。
「いゃあ、ほんまやわぁ。ほら
ここ下、何かあるんちゃう?」
「昔は下に降りれて海まで、いけ
ましたよ。まだ行けますかね」
灯台の下から
女性の叫び声が聞こえた。
気がする、3人の女達が、
ふと見ると
下へと続く獣道と、
看板がみえた。
海岸に昔あった遊園らしい。
「藁火、まだ燃えてるし、男の人
らが、朝ごはん用意してる間に
海で火ぃ見たいわ。あたし。」
「そやねぇ、古道の獣道より
酷い事あらへんやろし、
ちこっと降りてみはる?」
チョウコは、
有刺鉄線が囲う柵が
空いてる場所をみつけて、
キコと器用に入っていく。
「あ、チョウコさん、キコさん」
そのあとを、
長く海を見ていたリンネが
慌てて追いかけた。
枝林のトンネルは
古道に比べると
些か物足りなさを感じる程
広葉樹らしい明るさを
感じさせるから、不思議だ。
「ボロボロやな。」
先頭のチョウコが朽ちた浴槽を
見つけたすぐ後に
かつては
アーチだったであろう
緑が絡まった鉄の造形物を潜る。
「たいしたもんやねぇ、
ちあゃんと
階段もついてはるわぁ。」
キコが、錆びれた手すりに
手を乗せてみる。
かなり草が茂るが、
それでも道は残っていて
目の前に、急な
コンクリート階段が出てきた。
『タイシーーーーーーー!!』
「「「!!!」」」
ハッキリと、下から声が
聞こえて、互いに見合わす。
「助けて?ですかね。」
木々のトンネルの向こうを
伺うように、リンネが
首を伸ばす。
急な下り階段を少しずつ
さらに3人が降りると、
いきなり片側が開けた。
断崖だ。
「崖やん!!バババーーン♪
バババーーン♪
ダダダッ、ダダ、デデーン♪」
チョウコが
サスペンスお決まりの音楽を
口ずさむ。
「いゃあ、ほんまに、ガラって
足踏み外したら、まっ逆さま
に落ちはるわぁ。気ぃつけな」
木々のトンネルが
急に切れて、片側が崖の
遊歩道に変わったのだ。
青みがかった
独特の岩場が始まって
まさに景勝地らしい雰囲気が
してきた。
「自然盆栽が生えていそうな
見事な崖っぷちですよね。」
「リンネさん、それおかしない?
ここは絶対サスペンスやん!」
慎重に降りていくチョウコが、
最後尾のリンネに
振りかえる。
海岸美日本一に選ばれた
約3億年前の
緑泥青石でできた断崖は
世界的にも
稀に見る古生代の岩の崖で。
時間にして
さ程かからず、灯台から
その独特な姿の
崖沿いに
3人は海岸に降りていた。
「ほらぁ、リンネさん!
ここから よお、燃えてはるのん
見えるわぁ。蜃気楼みたいに」
砂浜の海岸線とは全くちがう
龍の鱗のような岩の風景
その向こうに、
チロチロと光が見えるのを、
キコが示した。
燃え尽きれば、
灰になって 海風に飛ばされ
海に消えるだろう舟。
「なあ、あたしな、きっと今日
の海。忘れへんわ。ずっと。」
青緑色の鱗みたいな岩場。
まだ潮が満ちていない
冬空の下、
間近に物凄い波の音を聞きながら
チョウコの言葉に
キコと、リンネも
「そやねぇ。」
「わたしもですね。」
と答えて、、 しんみり
とはいかず。
「やっぱりなんか聞こえんで!」
チョウコが崖の奥に耳を傾ける。
『ダイシーーー、、
、ナイデショーーー、、』
3人で声がする奥にと
視線を探らせると、
今度は海側に周りながら崖に
這うように
遊歩道らしき手摺が続いて、
その入口、
朽ちた看板には、
落石工事中とあるのを
見つけた。
「おーい。誰かいてるんー?!」
『ココ、、デルト、、』
「「「!!!」」」
チョウコの声掛けに
何か応答があるのを聞くと
そのまま
見つけたボロボロの
遊歩道にチョウコが、急いで
向かっていく。
「あ!チョウコさん!まって!
この先に、洞窟があって、
その道だったんでしょうけど」
リンネが止めるように
叫んでもチョウコは
止まらず
抜けて海に出る遊歩道を
仕方なくキコも追う。
「めちゃくちゃ朽ちてるやん!」
「ていかぁ崩落してはるわぁ!」
断崖絶壁に張り付く
廃墟遊歩道。
進むほど惨状は ひどくなって、
「怖いわーーー!!」
とうとうチョウコも叫んだ。
舗道というより
バラバラの鉄屑を
つたって、
乗り越えて、
足を岩に取られながら進んだ
時、
なんとか声の主が現れた。
「Help me!!助けて!」
女の人の声が近づく。
とわいえ、
足元から一時も気を逸らせれない
「うわぁ、ちょっとえげつない
場所ちゃいます?あかせんわ!」
キコがたまらず
足ばを見つけてまた、叫んだ。
と、
陥落した遊歩道の向こうに、
女性の姿を見つけた。
「ここ!!Help !!」
向こうも3人に気がついて
思いっきり手を振ってくる。
驚いたことに相手は
白装束に金剛杖の、
遍路の姿。
「巡礼者さんですか?!」
後ろのリンネが叫ぶ。
「オヘンロで 迷いました!
マイケル・楊っていいます。」
相手が何故かびっくりして
答えてきた。
「 電話をかけて下さい。
マイケル・楊が戻ったと。」
海の風に煽られてもはっきりと
ことばを伝わってくる
その名前に
今度はリンネが反応した。
「え、今、名前。なんて」
尚も相手は必死に続ける。
「 迎えにきて下さい!わたしは
ここ!マイケル・楊! いい
ます!Hongkongersデス!!」