頼んでおいたデザートプレートには僕の願い通りにチョコレートのペンで四季ちゃんのお誕生日をお祝いする言葉が綺麗に描かれており、ほっと胸を撫で下ろす。

彼女の反応は?と伺うと涙目になりながらも一瞬、睨まれた気がしたが僕の予想通りだ。
(喜んでくれている。間違いない。忘れてなんていないと言うサインに気づいた?)

さあ、次は君の出番だ。
慣れてないのでスマートに出来るか不安だが、そんな事よりも彼女が喜んでくれますようにとお願いを込める。
コートのポケットに閉まっておいた四角い箱をコトンと置き、彼女の前に差し出す。
その時に中が見えるように箱の蓋をあけながら。。。

「僕の気持ち。受け取って欲しい。
 本音言うとこれだけじゃ足りないけど。
 今日はこれを。」

本来ならリングを贈りたい。
けど、今日の僕の背中を押してくれるアイテムはどんな光輝くものより、このイヤリングだろう。
彼女の閉ざされた心を開く鍵となる必須アイテムはこれしかない。
そして、僕の本気を知らしてくれる最大級の味方だ。
イヤリングと一緒に渡したカードを手にすると途端に溢れ出る彼女の涙が綺麗で目が離せなくなる。
大事そうにカードを胸に仕舞う仕草にもう一度、恋に落ちる。


「心の底から四季ちゃんが好き。
 四季ちゃんが不安にならないようにする自信もある。
 だから、どうか、僕の手を取ってくれませんか?」

どんなに光輝く宝石よりはるかに輝く美しい涙を流す四季ちゃんに心を鷲掴みにされる感覚。
同時に僕も泣きそうになるが彼女の返事をじっと待つ。

とても小さな声だったが、「はい。私もいつの間にか玲央さんが好きになってたみたい。」と顔を赤らめながら返事をくれた、彼女の手に触れようとした瞬間ーーーーー。