さあ、最後の砦。
どうか、この思いが君に届くように。
祈るように両手を合わせる。
緊張感が伝わってしまったのか、彼女の顔が少し…ほんの少しだが強ばった。
手の震えが気になるが、今日ほどの絶好のチャンスはないだろうと覚悟を決める。

「次が最大級の告白なんだけど、その前にそろそろデザートをお願いしようか。」といって百合さんを呼ぶ。

「百合さん。
 デザートお願いします。」
事前にお願いした事が四季ちゃんが喜んで貰えるよう祈るように。
僕が彼女より先に泣かないように顔に力を入れる。

「四季ちゃ~ん、玲央く~ん。
 お待たせしました~
 デザートと紅茶ですよ。
 ゆっくりして行ってね~」

「ありがとうございます。」

と僕が百合さんにお礼を言うと耳元で囁かれた。
「玲央くん、ばっちりよ。
 最後のお客様も先ほどお帰りになったから、あなたたちだけなの。
 私たちは奥でケーキを食べてるからごゆっくり~」

言われた言葉に驚き、百合さんの顔を瞬時に見ると"頑張りなさい"と言われたように肩をポンッと叩かれた。
激励の一発に目を覚ました。そんな気持ちになった。
きっと顔が真っ赤になっているだろうと、隠しながら一礼をする。
ああ。百合さんと秀さんの心配りに泣きそうになる。
なんとも心強い味方たちなんだ。
でも、だめだ。
四季ちゃんだって、何度か涙目になったがその度に涙を堪えていたのだから。