知られざる話を聞いて、また驚かせてしまい僅かに身体が震え困惑した表情になる四季ちゃんをほっといて話を続けるのは心咎める。

(それでも止められないんだ。ごめん。)

「四季ちゃん、大丈夫?
 ごめんね。実は母親のクリニックで四季ちゃんが働いているのはだいぶ前から知ってたんだ。
 二年前の年末だった。実家に帰った時に母親が嬉しそうに新しい看護師さんが入ったって聞いた。
 その前にメッセージを貰っていたけど相当嬉しかったらしい。
 看護師さん不足の世の中で、あの町でましてや小さな個人のクリニックに求人を見て応募してくれる人なんて、なかなかいなくて困ってたんだ。
 長年、勤めてる看護師さんもだいぶお年になっていたから勤務時間に限界が出ていたし。
 だからそれ以来、実家に帰る度に母親に四季ちゃんの話を聞いていつしか、君に会いたくなった。
 "母親を救ってくれた、女神に会いたい"って。
 誰にも見つからない様に見に行く手段がみつからなくて悩んでいたら、母親に四季ちゃんの写真を見せてもらった事があったんだ。
 あれは、確かに事務の方が出産してクリニックに赤ちゃんを連れてきた日に撮った写真。」

四季ちゃんは誰の事だろう?と考える込みながら僕の話を聞き、時々相槌を打ったり、え~っと。と言った様に考え込む様な表情になったりもコロコロ変わる表情に笑いそうになってしまったのは秘密だ。