神様とは僕の背中を押してくれる優しい存在らしく、なんと真野さんの方が隣に来た。

「え~ッと。
 お名前、なに君だっけ?
 あんまり飲み会来ないよね~」

かなりの酒好きなのか、強いのかは不明だが、結構な量の酒を飲んだらしく酔っぱらっている。
(条件としては、最悪だけど聞いてみるか。)

「工藤です。
 飲み会って得意じゃない方なんです。」
「やっぱね~
 全っ然来ないから女の子たちが寂しがってるのよ?
 "うちらの優良物件君はお堅い"って~」

同期の女たちか、めんどくさい。
この件は聞かなかった事にしておこう。

「真野さんって兄弟がいたんでしたっけ?
 さっきの話が少し聞こえて。」

「はあ?え?なによ。いきなり。
 妹、紹介してって言っても無理だから。」

真野さんは酔っぱらっている割には勘が鋭い。
いや。酔っているかも知れないが、酔っぱらいではないのか?

「社内には好きな子いないので。
 もし、仮に僕の好きな子がしきちゃんで10年以上片思いしていて、しきちゃんが原因で彼女が出来たことが無いって言ったら協力してくれる?」