「いや、あのこれは…。」
「ごめん!
俺の遥稀に対する見方がおかしかったかな…。
ヒメユリの中の遥稀像は全然違った?」
「ち、違います!
むしろ逆です!
私のイメージする遥稀とリンクしすぎてて…。
こんなに明確に遥稀のことを読み取ってくれて、
感動してるんです…。」
多分。
これはその涙だと思う。
でもはっきりとは言えない。
なんでこんなに泣いてるのか
自分が一番分かってないから。
「そっか。ならよかった。
ヒメユリが小説に、小説の中の人に
強い想いがある証拠だね。
自信を持って一つの作品を創って
世に出している。
ヒメユリはすごいな。
俺、ヒメユリの想いも、作品も
絶対に裏切らないから。約束する。」
真っすぐ私の目を見て、そう言った彼の言葉は
すごく、胸に突き刺さった。
いい意味で。