遥稀にはそんな過去があった。


だからこそ、作品の中の遥稀のセリフには
すごくこだわった。


辛く、傷付いた遥稀だからこそ
言える言葉、突き刺さる想いがある。


そんな気持ちで書いていた。


まさか、それを読み取ってくれる人がいたなんて…。


「ありがとうございます。」


五十嵐陸が遥稀は色んなことがあったからこそ
今の優しい男の子になったのかな?とか
ここのセリフはすごく気持ちが籠ってるとか、
良い言葉だ、って
彼の中の遥稀を聞いたときに
思わず立ち上がって頭を下げお礼を言っていた。


「え!?ちょっ、座って?
…って、泣いてるの?」


「…え?」


頬を触ってみると
手に雫がついた。


…私、なんで泣いてるの。