~陸Side~


顔合わせの場所に現れた”ヒメユリ”を見た瞬間に
心を奪われた。


背はそれほど高くはないけど
長い手足に白い肌。
小さな顔にパッチリ大きな二重の目。
鼻も顔に合わせて小さめだけど
高く通っていて、唇は思わず触れたくなるようなピンク色。
そしてプロにでもやってもらったかのように
アレンジされた痛み一つない黒色の髪。


この子の書く物語にすごく魅かれたけど
この子自身にも俺は惹かれてしまった。


担当者の後ろに隠れて
少しオドオドしていたと思ったら
晴香さんに気の許したような笑顔を向けていて、
それはここにいる男女問わず全員が見惚れてしまうような
無邪気で、全く嫌味がなくて純粋なものだった。


俺がいる芸能界では
妬み、嫉み、憎悪、そんなものばかりが渦巻いている。


だからこの子の笑顔が眩しかった。


真っ白で、こんな世界とは無縁で綺麗だった。