「…やっぱダメです。」


「ダメ?何が?」


「名前で呼ばないでください…。
ドキドキして死にそうです…。」


小説の中の女の子たちはこんな気持ちだったのか。
ただ自分の名前を呼ばれただけで
こんなにも胸がギュってなるんだ。


「それは小説の中のセリフ?」


え?


「いや、今の私の気持ちですけど…。」


ふ~ん、と、軽くニコっと笑って


「なら、これからも呼ぶね、優里愛。」





うあ…っ。


なんなの、なんなの、なにこれ!!


現実にこんなトキメキがあるの!?


…ん?


トキメキ?


今、私は目の前にいる彼にときめいてるの…?


いやいやいや、まさか…。


チラっと彼の顔を見ると
彼はずっと私の顔を見ていたらしく
すぐに目が合った。