"人は死んでしまったら、星になる。"


17歳の冬。
雪が降り積もる真っ白な道を
俺は今日も走っている。
理由は、大好きな人に
1秒でも早く会いたいから。
目的地に着いて
勢いよくドアを開けながら名前を呼ぶ。

「よっ!すばる!!」
『びっくりした〜。
もっとゆっくり開けてや。笑』
「ごめん、ごめん。笑 今日調子どーなん?」
『今日も調子ええよ。いつもありがとうね。』

この子は幼なじみで同い年の女の子、すばる。
彼女は病弱で5歳の頃からこの病院にいる。
学校が終わると一目散にここに来て
家族の話、友達の話、
学校であったことなどを話す。
彼女は相槌をしながら
飽きずに話を聞いてくれる。
そんな彼女は優しく穏やかで
何より笑顔がとても魅力的だ。

『流星、毎日楽しそうやね。
入学したてはあんなに どうしよ、どうしよ、
って言っとったのに。』
「俺だってやればできる男やねんよ。」
『いーなー。流星は。
いっぱい友達がいて、学校に行って、
毎日楽しそうで。めっちゃ自由やし。』
「なにゆーとんねん。すばるも俺とゆう
優しい優しい友達がおるやないか。
学校行けんくても俺が勉強教えたるし。
それにすばるだって自由やで。
自分がそう思ったんやったらそうや。
全ては自分の心やぞ!
今は動けんからちょっとしまっとーだけや。」
『そーかな。笑』

今日の彼女はどこか違う。
寂しそうに笑う笑顔が気になって、仕方がない。

「すばる、なんかあったん?」
『え?なんで?』
「なんかいつもとちゃうやん。
なんかあったんやったらゆーてや?」
『大丈夫やよ。気にせんで。』

そう言って彼女は笑った。
あの時もっと聞いておくべきだったんだ。
気づいてたのに。わかってたのに。