「明日の花火大会行くの?」

ご飯を食べ終えた俺たちは、母さんと沢村で作ったケーキを食後のデザートで食べていた。

「あ…俺は行きたいって思ってるけど…。」

母の言葉に、そう口にしてから沢村の方にチラッと視線を向けた。

「おれも一緒に行きたいー!」

急に声を上げた空に、母さんは駄目よと言ってから、お父さんと3人で行こうと言った。
しかし、空は沢村の方にすがった。

「幸乃ねーちゃんも行くでしょ?」

「え?あ…」

戸惑う沢村は一瞬俺の方に視線を向けた。
すぐに助け船を出そうと声をあげようとしたが、それより先に沢村が口を開いた。

「一緒に行こうか。」

そう口にした沢村の言葉に、俺は目を見開いた。

「あの…ご一緒しても良いですか…?」

控えめに母さんの方に視線を向けてそう言う彼女に、母さんは満面の笑みを浮かべると、もちろん!と声を上げた。

「あ!そうだ!幸乃ちゃん浴衣着ない?私が昔着てたのがあるんだけど。」

瞳を輝かせている母に、沢村は嬉しそうに笑って、良いんですか?と口にした。

「もちろん。絶対幸乃ちゃんに似合うと思う。」

「…嬉しいです…。ありがとうございます。」

笑い合う2人に、俺も笑みが溢れる。

会わせて良かった。
そんなことを思いながら、俺は楽しく会話をする2人を見つめた。