「っ!!」
目の前の世界が、やけにぼやけて見えた。
瞬きをすれば涙が流れていって、視界が徐々にクリアになっていく。
ピピピピピ…
スマホの目覚まし音が酷く耳に突き刺さって、私はすぐにそれを消した。
体を起こせば体は重たくて、密かに頭の痛みを感じる。
「……はぁ…。」
深いため息をついて、袖で涙を拭う。
制服に着替えて、鏡の前に立った私は、自分の姿が視界に入った途端に泣きそうになった。
醜い。気持ち悪い。
涙で赤くなった自分の瞳から視線を外して鏡に背を向ける。
気持ち悪い。
頭の中で私が私に言うのが聞こえて、咄嗟に耳を塞ぐ。
けれどそれは鳴り止まなくて、気持ち悪い、気持ち悪いと何度も私が私を罵倒する。
その時だった。
ガコンッ!チリンッ…。
「っ!」
聞こえた音の方へ視線を向ければ、小さな缶の箱が床に落ちていた。
蓋も空いていて、中身が回りに散乱している。
その中に、見覚えのある風鈴のストラップも横たわっていて、思わず息を呑む。
あれは、夏祭りに西川くんがくれたもの。
何故か付けることも飾ることも出来なくて、あの缶にしまったのを思い出す。
『綺麗って言ってたから…。』
そう言ってストラップを差し出す彼が思い起こされて、私は急いでそれを缶の中にしまって一番下の引き出しの奥へ詰め込んだ。
「………。」
忘れたい。全部。
フラッシュバックする西川くんと黒崎さんの姿に、また胸が痛んで唇を噛み締める。
「もう…やめよう…。」
自分に言い聞かせるようにそう呟いて、私は自室を後にした。
目の前の世界が、やけにぼやけて見えた。
瞬きをすれば涙が流れていって、視界が徐々にクリアになっていく。
ピピピピピ…
スマホの目覚まし音が酷く耳に突き刺さって、私はすぐにそれを消した。
体を起こせば体は重たくて、密かに頭の痛みを感じる。
「……はぁ…。」
深いため息をついて、袖で涙を拭う。
制服に着替えて、鏡の前に立った私は、自分の姿が視界に入った途端に泣きそうになった。
醜い。気持ち悪い。
涙で赤くなった自分の瞳から視線を外して鏡に背を向ける。
気持ち悪い。
頭の中で私が私に言うのが聞こえて、咄嗟に耳を塞ぐ。
けれどそれは鳴り止まなくて、気持ち悪い、気持ち悪いと何度も私が私を罵倒する。
その時だった。
ガコンッ!チリンッ…。
「っ!」
聞こえた音の方へ視線を向ければ、小さな缶の箱が床に落ちていた。
蓋も空いていて、中身が回りに散乱している。
その中に、見覚えのある風鈴のストラップも横たわっていて、思わず息を呑む。
あれは、夏祭りに西川くんがくれたもの。
何故か付けることも飾ることも出来なくて、あの缶にしまったのを思い出す。
『綺麗って言ってたから…。』
そう言ってストラップを差し出す彼が思い起こされて、私は急いでそれを缶の中にしまって一番下の引き出しの奥へ詰め込んだ。
「………。」
忘れたい。全部。
フラッシュバックする西川くんと黒崎さんの姿に、また胸が痛んで唇を噛み締める。
「もう…やめよう…。」
自分に言い聞かせるようにそう呟いて、私は自室を後にした。