「うーん…。」
唸る河村くんに、私は控えめにどうしたの?と口にする。
「…俺、クワガタ作りたいんだよ。」
「うん…聞いたけど…。」
あれから1週間。
放課後はほぼ毎日景品作りに取り掛かっている私たちは、今日もこうして景品を作っていた。
私に対して遠慮がなくなったのか、河村くんはよく他愛もない話をするようになった。
そうして分かったことが1つ。
彼はどこまでも話が長い人なのだということだ。
昨日は嫌と言うほどクワガタの話をされ、作りたいとも言っていた。
だから今日はクワガタを紙粘土で作るのかと思いきや、何故かまた悩み出した河村くんに疑問が生まれる。
「何で悩んでるの…?」
「いや、カブトムシとどっちが良いかなって…。」
「……。」
「沢村、スマホでカブトムシの写真調べてくれない?俺の脳内のクワガタと比較するから。」
この人は何を言ってるのだろうか。
そんな目で彼を見つめてしまっていれば、何だよと眉を寄せて彼が言う。
「俺手汚れててスマホ触れないんだよ。」
そうではない。
そういう事ではない。
心の中で突っ込みを入れても彼に伝わるわけはなく、私は渋々スマホを取り出してカブトムシを検索する。
案の定本物のカブトムシの写真が出てきて、思わず顔をしかめる。
「なんだ。カブトムシ嫌いなのか?クワガタにするか?」
私の中では対して変わらないよとまた内心で突っ込みを入れながらも、大丈夫と伝える。
1枚の写真をタップして彼に見せれば、すかさず違うと言われる。
「もっと他の写真見せてくれ。」
まだ見なきゃいけないの?
と声にならない不満は私の心の中に消えていくだけで。
正直私はこういうグロテスクな生き物が苦手だ。例え写真でも無理だ。
そう思いながらも、彼のためにと言い聞かせて、少し目を細めて写真を探していれば、吹き出すような音が聞こえて我に返る。
「あはは…。お前…苦手なら言えよ。あー…腹痛い…。そんな無理して見なくて良いから。こっちに画面見せて。」
言われた通りに画面を見せれば、彼はあ!と声を上げた。
「一番右下のやつ!」
そう言われてまた無意識に目を細めて写真をタップすれば、彼はまたゲラゲラと笑い始めた。
「沢村って面白いな。あ、そうだ!お前のためにカブトムシ作るわ。これ完成したら絶対当てろよ?」
「…い、いらないよ…。」
「そんな怒んなよ。にしてもなに?そういうの苦手なの?」
クスクス笑う彼に頷けば、彼はまたお腹を抱えて笑い始めた。
なにがそんなに可笑しいのかさっぱり分からなくて、とりあえずスマホを彼の方に差し出す。
「そっか、苦手か。じゃあより一層頑張んないとな。よし!ついでにクワガタも作ろうっと。沢村の為に。」
「だからいらないってば…。」
「遠慮すんなよ。絶対愛着湧くから。カブトムシとクワガタ何個か作ろう。1個位当たるだろ。」
早速作業に取り掛かった河村くんに、ため息を溢す。
「どのくらいの確率だと思ってるの…?はずれも合わせたら結構あるよ…。」
呆れながらそう口にすれば、あ、そっかと彼は言う。
「じゃあやるよ。待ってろ!」
子供みたいに目を輝かせる彼にもう何も言えなくて、私は目の前に置かれたビーズを手にとって作業に取り掛かった。
唸る河村くんに、私は控えめにどうしたの?と口にする。
「…俺、クワガタ作りたいんだよ。」
「うん…聞いたけど…。」
あれから1週間。
放課後はほぼ毎日景品作りに取り掛かっている私たちは、今日もこうして景品を作っていた。
私に対して遠慮がなくなったのか、河村くんはよく他愛もない話をするようになった。
そうして分かったことが1つ。
彼はどこまでも話が長い人なのだということだ。
昨日は嫌と言うほどクワガタの話をされ、作りたいとも言っていた。
だから今日はクワガタを紙粘土で作るのかと思いきや、何故かまた悩み出した河村くんに疑問が生まれる。
「何で悩んでるの…?」
「いや、カブトムシとどっちが良いかなって…。」
「……。」
「沢村、スマホでカブトムシの写真調べてくれない?俺の脳内のクワガタと比較するから。」
この人は何を言ってるのだろうか。
そんな目で彼を見つめてしまっていれば、何だよと眉を寄せて彼が言う。
「俺手汚れててスマホ触れないんだよ。」
そうではない。
そういう事ではない。
心の中で突っ込みを入れても彼に伝わるわけはなく、私は渋々スマホを取り出してカブトムシを検索する。
案の定本物のカブトムシの写真が出てきて、思わず顔をしかめる。
「なんだ。カブトムシ嫌いなのか?クワガタにするか?」
私の中では対して変わらないよとまた内心で突っ込みを入れながらも、大丈夫と伝える。
1枚の写真をタップして彼に見せれば、すかさず違うと言われる。
「もっと他の写真見せてくれ。」
まだ見なきゃいけないの?
と声にならない不満は私の心の中に消えていくだけで。
正直私はこういうグロテスクな生き物が苦手だ。例え写真でも無理だ。
そう思いながらも、彼のためにと言い聞かせて、少し目を細めて写真を探していれば、吹き出すような音が聞こえて我に返る。
「あはは…。お前…苦手なら言えよ。あー…腹痛い…。そんな無理して見なくて良いから。こっちに画面見せて。」
言われた通りに画面を見せれば、彼はあ!と声を上げた。
「一番右下のやつ!」
そう言われてまた無意識に目を細めて写真をタップすれば、彼はまたゲラゲラと笑い始めた。
「沢村って面白いな。あ、そうだ!お前のためにカブトムシ作るわ。これ完成したら絶対当てろよ?」
「…い、いらないよ…。」
「そんな怒んなよ。にしてもなに?そういうの苦手なの?」
クスクス笑う彼に頷けば、彼はまたお腹を抱えて笑い始めた。
なにがそんなに可笑しいのかさっぱり分からなくて、とりあえずスマホを彼の方に差し出す。
「そっか、苦手か。じゃあより一層頑張んないとな。よし!ついでにクワガタも作ろうっと。沢村の為に。」
「だからいらないってば…。」
「遠慮すんなよ。絶対愛着湧くから。カブトムシとクワガタ何個か作ろう。1個位当たるだろ。」
早速作業に取り掛かった河村くんに、ため息を溢す。
「どのくらいの確率だと思ってるの…?はずれも合わせたら結構あるよ…。」
呆れながらそう口にすれば、あ、そっかと彼は言う。
「じゃあやるよ。待ってろ!」
子供みたいに目を輝かせる彼にもう何も言えなくて、私は目の前に置かれたビーズを手にとって作業に取り掛かった。