遥の秘書は、最も効果的な方法で萌夏の秘密をばらしてくれた。
自分の手は汚さず遥かに現実を突きつけ、萌夏の口から言わなければならない状況を作った。

「で?」
立ったまま黙っていた萌夏に、遥が説明を求める。

一瞬、このまま嘘をついてごまかそうかと萌夏は考えた。
それで遥との暮らしが守れるならそれでもいいと思えた。
でも、きっとすぐにばれるだろう。
あの秘書が黙っているはずがないんだから。
どっちにしたって、ここでの暮らしは終わりを迎える。
それなら、自分から話そう。


「本当はコンビニのバイトではなくて、クラブでホステスをしていました」
さすがに遥の顔を見る勇気はなくて、床を見ながら告白した。

「何で嘘をついた?」
「それは」

本当のことを言えば反対したでしょう?とは言えない。

「そんなに金が必要なのか?」

住む所も食べるものもすべて出してもらって、これ以上何が欲しいんだと言われている気がした。

「ごめんなさい。でも、早くお金を貯めて大学に戻りたいんです」

「大学に戻るって、お前・・・」

そもそも休学したことを知らせていなかった遥は驚いた様子で立ち上がり、うつむいていた萌夏の顎に手を当て顔を上げさせた。

「ちゃんと、目を見て話せ」