ゆっくりお弁当を食べていたので私と咲來は教室に駆け足で戻ることとなった。
 席に座ってからも漫画を読んでいる。
 本当に漫画が面白くて続きが気になって仕方がなかった。
 授業中に呼んでいるわけでも、周りの人に迷惑をかけているわけでもないので、私は読み続けたが、よくお思わない人見たらしい。
「最近あいつ本読んでばっかだよね」
 ひそひそと何か言われているのは聞こえているが気にしないことにした。
 そんなことを気にしているより、漫画の続きが気になったからだ。
 それと返すのが遅くなるのが嫌で、帰るまでに返そうと考えていたからだ。
だけど放課後までに借りたものを全部読むことはできなかった。
 咲來にはいつでもいいと言われたが、なるべく早く返そうと思った。
 少し読んでから屋上に向かうのでもよかったがそうはしなかった。
放課後に矢部君と話せることが楽しみで、少し駆け足で屋上に向かった。
 屋上のドアを開けると矢部君はもういた。
「お待たせしました」
 いつも早く来ている矢部君に待たせていることがもうしわなく思った。
 いつも屋上に来ては初めのことは謝罪から始まる。
「そんなに待っていないよ。今日ずっとマンガ読んでいたね」
 いつも気にしないでと言われるのに癖が出て謝罪ばかりをしてしまう。
 直したいとは考えている。
 矢部君が少し寂しい症状をしたように見えた。
「そうですね。することもなかったですし、借りているものですので」
 そんなに漫画を読んでいたかと思いつつも、ほかの話を振ることにした。
「矢部君は漫画とか読んだりする?」
 矢部君が何を好きなのかは私は知らなかった。
 これからでも知っていこうと思ったが、迷惑かなと一度考えてしまった。
 それでも矢部君のことを知りたいので聞いた。
「読むよ。少年漫画とかのほうが多いけど、弟が少女マンガ読んでいるから、たまに読むこともあるよ! 大松さんはほかに本を読んだりしないの?」
 私のことは聞かれないと思っていたが、質問をしたのだから答えねばと思った。
「そうですね。小説は読むのですが、あまり漫画は買って読むということはないですね」
 漫画を読むことなんてほとんどない。
 読んで炊いたらもっと話は広がったかもしれないが、私の家に漫画がなかった。
 あったとしても小説や、少し難しい本しかなかった。
「なんか、イメージ通りだね」
 おとなしい人はみんながそんな感じのイメージを持っているのか思う。
 そんなイメージに思われていたんだと初めて知った。
「そうですね。よく言われます」
 昔からよく言われてきたことには間違えなかった。
 そのことに関して落ち込んだこともなかったが、たまに悪口で言われるときもある。
「悪口とかじゃなくて、知的な人だなと思って」
 矢部君は私が少し下を向いていったのですぐに訂正した。
 矢部君がそんなこと思っていないのはわかっていたが、今まで言われてきた言葉だったので素直に受け取ることができなかった。
 それでも改めてちゃんと言ってくれるので私はうれしくなった。
「そういう風に言われたのは初めてです」
 自分の気持ちを素直に言う言こともだけど、言われた言葉が俺敷くなり笑っていた。
 笑ったのを隠すように私は下を向いた。
「この言い方も嫌だったかな?」
 下を向いたので誤解をさせた。
 普段から言葉が少ないのは自覚していたが、もう少し誰かと話して桶がよかったと後悔している。
「そんなことないです。矢部君さんにそんな風に言っていただけるのはなぜかとてもうれしいです」
 私はどうやって反応するのが成果内なのかわからなかった。
 人に褒められる機会があんまりなかったので、私は戸惑った。
 そんな私を見ていて、矢部君は何か思いついたみたいだった。
「じゃ、これから大松さんの長所とか見つけるたびに言っていこうかな?」
 そんなことを毎回言われたら、私はまた矢部君の前で倒れるのではないかと思った。
 それに私の長所なんて、私自身が分かっていないのでないと思っている。
「なにもいいことないですよ」
 私がそう言うと矢部君はいたずら笑顔で言い出した。
「大松さんが顔を赤くした姿が見れるかな」
 私の顔は赤くなった。
 だけどよくよく考えると矢部君の得になるようなことでは似ないと思った。
「それって、どこもいいことではないじゃないですか」
 矢部君はいたずら笑顔のままだった。
「大松さんにもっと自分の長所を知ってほしいなと思って」
 自分の長所なんてない。
 でも、自分の長所をしれたら変われるかも。
「私には長所なんてないですから」
 今はない。
 これから知れるなら言ってくれるのを素直に聞くことする。
「そういうから、俺が大松さんに教えてあげるの。いやって言われても俺はするから」
この人は何で強引なんだろう?
 でもその強引さで助けられていることが多いんだけどなぁ。
「強引です」
 そのあと少し話したが、すぐに下校時間になった。
 私は家に帰って夕食を食べ終えて漫画読んだ。
 次の日に返そうと思っているので遅くまで私は起きていた。
 次の日。
 少し寝不足で私は咲來の家に向かった。
 咲來が玄関の前で待っていた。
「おはよう。歩楓。その調子だったら案が全部読んだみたいね!」
 朝、自分で鏡を見ても分かるくらいの寝不足だった。
 だけど読み始めて止めるタイミングがなくそのまま全部読んでしまった。
「読んだけど、私にはできない。これありがとう」
 だけど、読んで自分がもやもやしている気落ちの原因は分かった。
 でも主人公の行動を私がやろうなんてことはできない。
「そんなことないよ。歩楓にだってできるよ! それに教室でも話すことができているなら、できるんじゃない?」
 少しずつ変れているのが咲來の目からでもわかるのが、今の言葉でわかった。
 だけど自分の気持ちを言葉にするのも難しいのに、気持ちを人に伝えるなんてハードルが高すぎる。
「自分の気持ち伝えるほどの勇気なんて持ってないよ」
 今まで人と話してこなかったので、人と話すだけでお勇気がいる。
 だけど咲來はそこら辺の話は考えていないようだった。
「大丈夫だって、矢部君に振られることがあっても友達のままって言ったら、友達でいてくれるって」
 咲來が言っていることは相手に申し訳ないことだ。
 それでも矢部君は言ったら本当に友達のまあでいてくれる気がする。
「そうだけど、気まずくなることには変わりないじゃん」
 でも矢部君と気まずくなるのは少し寂しい気がしている。
 気まずくなると話す回数が減る気がするのが嫌だな。
「大丈夫。何か変なこと言われたら私が注意してあげるよ」
 いつも咲來に助けてもらっている。
 だけどこのことでは咲來に助けを求めても、助けられないことが多い。
 自分で言わないといけないことだから。
「卒業までには伝える。だけど準備に時間かかりそう」
 心の準備のどれだけかかるかはわからないけど。
 それでもいつかは矢部君にこの気持ちを伝えたいと思っている。
「目標になっているなら大丈夫なんじゃない? 呼び出しとかなら私もできるからそれぐらいならするよ」
 咲來も姜両区的で少し助かったと思っている。
 咲來以外に相談できる人がいなかったので、咲來の存在がとても大切だと改めて確認した。
 気づいたら教室の前にいる。
 話に夢中になっていて、どこにいるかを気にしていなかった。
 咲來と別れて教室に入る。
(なんだか目が合わせずらい)
 自分の気持ちを自覚したのでなんだか目が合わせずらかった。
 自分の中話しかけるのも気まずくなり反しかけなかった。
 だけど矢部君が私に気づいたのか、私のほうに向かってきた。
「大松さんおはよう。今日は大松さんから話しかけてくれなかったね! 何かあった?」
 矢部君が悪いわけではないけど、なんだか話していることも気まずく思えた。
 だけど話しかけられているのに話さないわけもいかないので私は小声で話した。
「何もないです。おはようございます」
 矢部君と話すことができも矢部君の目を見ることはできなかった。
 矢部君とあまり話さないようにしていると昼休みになった。
 自分の気持ちを自覚して矢部君を避けるつもりなんてなかった。
「咲來~。どうしよう。今日一日目が合いそうになったらそらしちゃったよ」
 私は午前中の自分の行動に咲來に泣きついた。
 今振り返っても最低だ。
「自覚したのが昨日ならその反応が普通じゃね?」
 咲來も恋愛をしたことがないのでわからないと言った。
「そうなのかな? でも矢部君には変に思われちゃってるよ」
  だけど、知らない側としては昨日まで普通に話していたのに、急に無視されたととらえられてもおかしくない。
「まぁ、確かに悲しんではいるだろうな。昨日まで普通だったし。」
 咲來が言われる、私にもダメージが受けた。
 だけど悲しんでいるより、変人と思われている可能性のが高い。
「悲しんでないよ。変な女だって嫌われるよ」
 そういって悲しんでいる私に咲來は慰めてくれた。
「そんなことないって。小さなことで矢部はあんたを嫌ったりしないって」
 そうだといいけど私は心の中で思う。
 だけどン歩人がどう思っているかなんて聞けるわけもなかった。
「そんなに気になるのだったら、矢部に直接聞いてみたら? 今日の放課後も会うんでしょ?」
 さっき考えていたことを咲來に言われたので私は驚いた。
 だけど、気になっているのは本当だ。
「そうだけどなんて聞くんの?」
 聞く勇気はないが、知りたくないわけではなかった。
 だけど正直に聞くのは恥ずかしい。
「私のことどう思っていますか? って」
 咲來が答えたのは直球だった。
「それでもし嫌いって言われたら私もう学校来れないよ」
 本気で来れないと思った。
 咲來に言われても学校に行ける自信はないが、矢部君に言われても学校に行ける自信がない。
「大丈夫だってそんなこと言わないよ」
 咲來の自信どこからきているのだろう?
 その自信が私にも少しあればもう少し変わっていたのかもしれない。
 それでに矢部君との関係も違っていたかもしれない。
「咲來になんでそんなことわかるの?」
 ずっと気になっていたことだった。
 矢部君と話はじめたころから、咲來は矢部君がどう思っているのか知っているように大丈夫ということが多い。
「だって歩楓への対応とほかの女への対応が見てわかるように違うから」
 矢部君の対応を振り返った。
 だけど私とは彼女氏との態度根変化などはわからなかった
「そんなことないよ。矢部君は優しいからほかの女の子にも優しいよ」
 どこがやさしかったのか全く分からなかった。
 だけど咲來はそう感じていないようだった。
「確かに優しいのだけど、種類が違うのよ」
 種類があるのかわからなかった。
「よくわからないけど、優しいのには変わりないよ」
 それでも優しいのには変わらない。
 だから咲來が言っているやさしさの種類はわからあない。
「あんたがそれでいいなら、いいけど。本当に気になって学校来れないとか、体調崩すとかになる前に矢部君に聞くのよ」
 咲來が心配してくれるのがうれしい。
 でも体調を崩すとしても矢部君に自分のことをどう思ているかなんて聞けるはずおなかった。
「無理。できない」
 今は本当にそんな勇気が出ない。
「まぁ、私は困らないからいいけど。本当に無理なら私が聞きに行こうか?」
 咲來に迷惑かけない程度に過ごすことにする。
 それでもほかの人が聞くのは自分の中で何かが違うと言っている。
「それはダメ。自分で行かないと意味がない気がする」
 咲來はそのことを否定するわけではないが、少し拗ねているようにも見えた。
「なら頑張ることね。ほら早く食べないとお昼時間、終わっちゃうわよ」
「わかってる」
 咲來の態度が少しいつもと違った。
 そんなことを考えながら私は教室に戻った。
 教室に入ると矢部君が花足かけてきた。
「大松さん。今日の放課後時間あるかな?」
 私にしか聞こえないでそういってきた。
 いつもなら何も言わずに屋上で待っているけど、今日の矢部君はどこか違う。
 私も矢部君にしか聞こえない声で返した。
「いつもの場所で待っています」
 普通に常行を受けていたが、矢部君から何を言われるのか心配になった。
 今日避けていたのは自分だが、言われることまで考えていなかった。
 放課後になって屋上に向かった。
 屋上のドアを開けるとまだ矢部君は来ていなかった。
「お待たせ。今日は大松さんのほうが早かったね!」
 だけど荷物ををくとすぐに屋上のドアが開いた。
 早く来たと思ったが、私がついてすぐ来たので持った早く来れるようにしようと思った。
「やっと矢部君産より早く来れました」
 だけど私はうれしくなった。
 今まで矢部君のほうが早かったので、自分が矢部君より早く来れたことがこの先あるとは限らないから、名いっぱい喜んだ。
「そんなに喜ぶんだね」
 私の喜んだ顔を見て矢部君が言った。
 人前で喜ぶことがあまりない私は言われて少し恥ずかしくなった。
「変ですか?」
 ほかの人が喜んでいる姿は見てきたが、自分が喜ぶ姿を見る機会がなかったので、自分がどんな風に喜んでいるか知らない。
「そんなことないよ。話が変わるんだけど、俺何かしたかな?」
 矢部君が話をそらしたので、変なのかと考えた。
 だけど話が変わって矢部君の顔は悲しそうにしている。
「何もしていませんよ」
 矢部君が悪いわけではない。
 今こうやって話しているのも少し恥ずかしいが、ここで逃げると矢部君君と話すことができなる気が知る。
「今日、大松さんと目合わなかったと思っていたのだけど、俺の勘違いかな?」
 ここで勘違いって言えば何も起こらないのに私はなぜか否定してしまった。
「勘違いではないです」
 素直に言った自分を馬鹿だと初めて思った。
 ここまで行ってしまったので素直に言うしかないと思った。
「ほかに理由があるのかな?」
 ここで聞かれなかったら、素直に話そうと思っても答えないつもりだったが、聞かれないわけもなかった。
「……。少し恥ずかしかったんです」
 これより深く自分の気持ちを聞かれたら、言葉にするのに時間がかかるから矢部君に呆れられるかも。
「恥ずかしい?」
 だけどここまで聞かれたので、その先も聞かれるのは覚悟していた。
「友達がいたことなかったですし、咲來に相談したとき私の対応とほかの女子の対応が見てわかるように違うと言われて」
 咲來に言われたことを出して話をしてそらそうと思った。
「そんなにはっきりしてる?」
 矢部君が自分で自覚しているわけではなかった。
 自分が分かっているわけではないので咲來が言ったことした伝えれなかった。
「私には同じに見えているのですけど、それは違うって咲來に言われました」
「そっか。それで避けてたの?」
 話をそらしたけど、矢部君は簡単にそれてはくれなかった。
 正直に話すことにした。
「矢部君さんが私のことどう思っているのかなと思いまして、そんなこと考えているとなんだか恥ずかしくなって……」
 恥ずかしいので目を見て話すことはできなかったが、今は矢部君のそれをわかってくれている感じだった。
「そうだったんだ。嫌われたんじゃなくてよかった」
 納得してくれているみたいだった。
 嫌われたくないと思ってくれたのがうれしかった。
「そんな。嫌うだなんて。友達としてもったいないぐらいです」
 私にはすごくもったいないことなのに避けたことを後悔した。
 矢部君は私の手を握って言ってきた。
「そんなことないよ」
 無自覚にやっていたみたいですぐに話したが、矢部君の顔は赤かった。
 恥ずかしいのか矢部君は話をそらした。
「そうだ、今日はマンガ読んでいなかったけど、読めた?」
 矢部君への自分の気持ちが分かって、私は漫画の感想を言うことを忘れていた。
 読んでいて思ったこともあったが感想になっていないので、もう少し時間が必要だった思った。
「読めました。だけど感想はもう少し待ってください」
 いっそ紙に書いてこようかと思ったが、そういうわけにもいかなかった。
 甲斐に書いたのを渡されても何が面白いのかわからないだろうし、人の言葉で声で言ってこそ面白いことが伝わると思ったからだ。
「いいよ。大松さんが言いたいときに聞くから。いつでも言って」
 矢部君はやっぱり優しかった。
「ありがとうございます」
 話していると時間を気にしていなかったので放送が鳴って下校時間だと二人して焦って、校門に向かった。
 校門を出る気に視線を感じたが、校門出て何もしてこなかったので気にしないことにした。
 家についてから少し視線のことを気にしていたが、屋上で矢部君君と話せたことがうれしかったのと、自分はこうだと思って行動していてもとらえ方は違うということに気づけた。