──ガラガラッ


ん?誰か入ってきた?
忘れ物かな…?



「話って…何?」


この声って…太田くん?


「奏斗…別れよ」


「っ…は、なん…で」


…え。別れ話…?
ど、どうしよう。
聞いちゃダメな話だよこれ…
っていうか、バレたらどうしよう?!


太田くん…彼女さんいたんだ…
そりゃそうだよね…太田くん、カッコいいもん…

チラッと二人の顔を見る
美男美女とは、こう言うことをいうんだろう


驚きと緊張と不安と悲しみで頭がごちゃごちゃだ

今は、とにかく見つからないように
それだけを必死に考える

そんな思考を抱えながら私が聞いているとも知らずに二人の話は進んでいく


「私…ね、他に好きな人が出来たの」


「っは…」


顔を苦しそうに歪める太田くん
それを見て私も苦しくなる

「私ね、奏斗と大喧嘩してた時、バイト先の先輩によく相談に乗ってもらってたの。」


「彼、優しいから不安も悲しみも全部受け止めてくれて…そのうちに惹かれていったの」


幸せそうに残酷な言葉を告げていく彼女さん