「あーあ!夢にまで彼氏が出来たら、私だけ疎外感!!」



んーと、背筋を伸ばしながら愚痴をこぼす。



いつもなら、うるさいはずの夏海が黙り込んでいるから変な感じだ。



静かな空間のまま時間だけが経過して、顔を赤くした夢が帰ってきた。

その目は赤く充血していて、泣いた事が分かる。



「あはっ!陸斗先輩。今は誰とも付き合わないんだって……」



そうか。とても他人事に思えない。

なんていうか、私にも振られる可能性があった訳だ。



ポロリと涙を零した夢を、優しく抱き締める。



「本当に、好きだったのにな……。ちょっと、1人になりたいから先に帰るね……」



そう言うと、教室を出て行った夢。

今、1人にするのは不安だけど、仕方が無い。



「私達も帰ろうか!!」
「夏海は大地君と帰らなくていいの!?」
「うーん!今日はいいや。てか、後で明日菜の家に行っても大丈夫?!」



せっかく卒業式なのに、大地に会わないのだろうか。

疑問に思いながらも、「うん」と返事を返した。



途中まで夏海と通学路を歩く。



「夢……。大丈夫かな……?」
「夢は強いから大丈夫だよ!!」