私に気付いた夢が、笑顔で手を振ってきたから振り返した。



「明日菜も、陸斗先輩にチョコレート渡すの？」



大丈夫＿＿

普通にしていたら、大丈夫＿＿



「うん！そうだよ！」
「私ね昨日夜遅くまで頑張って、チョコレートケーキ作っちゃったの！！」



夢の手はやたら大きな箱を持っており、見るからに豪華で、私の作ったチョコレートが貧相に思えてしまう。

でも、ケーキを作っちゃうなんて本当に凄い。



「ケーキ！？凄いね！！夢ってお菓子作り上手いんだねえー！！」
「うん！子供の時から、料理とお菓子作りだけは得意で！！その他は、全然ダメだけどね……」



その可愛らしい、エピソード。



「全然駄目なんかじゃないよ！夢は可愛いし！とても、良い子！！」
「ありがとう！！一緒に陸斗先輩にチョコレート渡しに行こう……。緊張しちゃうから……」



緊張するって事は、陸斗にチョコレートをねだられた訳じゃないのだろうか。

そう考えたら、ちょっとだけホッとしてしまう自分が居る。



「緊張する？」
「明日菜は幼なじみだから、陸斗先輩の素敵さが分からないんだよ……。それに……。いきなりチョコレート作って押し掛けちゃったから、迷惑て思われるんじゃないかって、ちょっと怖いかな……」