聞きなれたインターフォンの音がしたから、ブラシを置いて、玄関に向かった。



扉を開けると、色とりどりのこんぺいとうが入った瓶を持った陸斗が立っている。



「はい!」



そう言うと、私の手にこんぺいとうの瓶を握らせてくれた陸斗。

手が重なり、幸せだけど__

これを受け取ってしまえば、陸斗は帰ってしまう。

そう考えただけで、胸が締め付けられる。



喋らなきゃ。なんでもいいから、会話を振って陸斗との時間を長く過ごしたい。



「こ、この、こんぺいとう。凄く美味しいけど、どこで買っているの?」



そういうと、嬉しそうな表情を浮かべ手を引っ込めた陸斗。



「美味しいなら良かった。この、こんぺいとうは昔見付けた飴屋で買っているよ!」



勇気を出せ!私。



「そっかあ?だから、美味しいんだ。あのね……」
「んっ?」
「ちょっと、部屋に上がって話しない……かな……?」



自分的には、かなりの勇気を振り絞って口に出した言葉__



いつも、皆でワイワイするのも楽しいけど、久しぶりに2人で会話を楽しみたい。

そう思っただけなのに__



「いや、それはやめとくよ__」