「邪魔、下がってて。」

刀の持ち主はそう私に言うと、先ほどまで私が戦っていた相手に向き合った。

「そのだんだら羽織は人殺しの新選組じゃないか…」

相手が悪いと言わんばかりに先ほどのお武家様は刀を鞘にしまわぬまま、走り去ろうとした。

走り去ろうとした、というのは実際には走り去っていない。

背中を見せた瞬間新選組と呼ばれた男性は相手の背中に斬りかかる。

すると相手は断末魔の叫びをあげ、血しぶきとともに倒れた。

新選組の男性は刀を鞘にしまうと私のほうに向きなおった。

「あんた、馬鹿なの?
そんな竹刀で真剣にかなうとでも思った?

俺が通りかからなかったら、間違いなく死んでいたぞ。

剣の腕はいいらしいが、無謀なことはやめておけ。」

それだけ言い終わるとその男性はおもむろに歩いて行った。