新選組の屯所では新選組のお抱え医師である松本良順先生と屯所警備のため出動しなかった隊士たちが治療の準備に奔走していた。

松本先生はあらかじめ治療のため何部屋か部屋を用意しており、けがを負ったものが帰ってきたときにすぐに治療に当たれるようにしていたのだ。

そして帰ってきた隊士らを怪我の度合いによって部屋を分け、意識を失っているものから治療を始めたのだ。

「松本先生、杉崎は俺が約束したのに守ることができなかった。

杉崎は俺のことを守ってくれていたのに。

だから、こいつの治療は責任をもって俺にやらせてください。」

もしここで着ている着物を脱がされてしまえば胸を押さえているさらしがあらわになり、治療をするためにそれはとられてしまうだろう。

そうなってしまえば女だということがばれてしまう。

意識を失っている間に女だということがばれて、意識を取り戻した時にばれてしまったことにより、悲しむ姿を見せたくない。

そう思ったため、斎藤先生は無理を承知で松本先生に頼み込んだのだ。

「今、意識を失っている以上かなり危険な状況だということはわかるよね?

何か訳ありなんだろう。

後で薬は部屋の前の廊下に置いておく。

まずは服を着替えさえ、斬られた部分にきつく包帯を巻いてこれ以上傷口が開くのを阻止しなさい。」

そう言うと松本先生は斎藤先生に包帯を手渡し、他の隊士の治療へと向かった。

「ありがとうございます!
必ず、こいつは俺が助けて見せます。」

斎藤先生はそう言い残すと私のことを背負い自分の部屋へ戻った。

そして部屋の中央に布団を敷くと私の腰に差している刀と小太刀を鞘ごと引き抜き、だんだら羽織を脱がせ、袴と着物もそのまま脱がせ、背中側は切れてしまっているさらしも外した。

傷口の周辺をぬれた手ぬぐいで拭き、傷口に清潔な手ぬぐいを当てた後、先ほどもらった包帯で傷口を押さえるようにきつく巻き、私の箪笥からさらしと着物を取り出すと胸のふくらみを隠すようにさらしを巻き、さらしが隠れるように着物を着させた。

そしてゆっくりと布団に寝かしつけたのだった。