とりあえずこの場にいる御陵衛士の粛清はすべて終了した。

しかし先ほど逃がしてしまった4人の御陵衛士やこの場に来なかった御陵衛士はいまだに粛清できていなかった。

「局長、残りの御陵衛士を追いますか?
俺はまだ戦えます。

今なら相手も傷を負っているものが多く、今戦える人だけでいっても勝てると思います。」

そう新選組隊士の一人が近藤先生に尋ねた。

しかし近藤先生の口から出た言葉はその隊士が予想していたものではなかった。

「いや、今は追わなくていい。

けがをしているとしても相手もかなり剣術に長けているものたちだ。

我々も怪我をしている以上、今戦うとしたら条件は同じ。
つまり必ず勝てるという見込みがない。

それにここに来なかった御陵衛士のやつらは一切けがをしていなければ体力が消耗しているわけでもない。

そんな奴らと戦ったら間違いなく新縁組の中から死者が出るだろう。

今は一度立て直すべきだ。

そして重傷を負って動けないやつらの傷が治った後にまた計画をたてて粛清すればいい。

今は目の前の命を大切にする。」

近藤先生が下した判断は一時撤退だった。

現状まだ戦える新選組隊士は20名もいない。

しかもまだ戦えるとは言っても全員が無傷なわけではなくけがを負っているものもいた。

こんな状況で残党を追ったとしても全員粛清できる可能性は絶望的だった。