私が斬られてしまったと気がついた斎藤先生は私のもとへ駆け寄り、私を立ち上がらせると民家の壁に私のことをもたれさせた。

「終わるまでずっと背中を強く壁に押し当てていろ。

強く押し当てることで痛いだろうが、出血は抑えられる。

お前の敵は必ず俺がとるから、絶対にここを動くな。」

それだけ言い残すと斎藤先生はまた乱闘の中に戻っていった。

私のことを斬ったのは服部武雄という人物だった。

私はすっかり忘れていたのだ。

新選組には私以外にも二刀流を得意としていた隊士がいたということを。

それを忘れてしまっていた私は刀にばかり意識を集中していたため、左手に握られていた小太刀に一切注意を払えていなかったのだ。

服部は私の後方にまわりこみ、小太刀で私のことを斬りつけたのだった。