私と斎藤先生が戻ってきたとき、残り5人の御陵衛士を囲む隊士の姿と腕や背を斬られ血を流して倒れている仲間の姿が目に入った。

こちらも思いのほか苦戦しているようで私たちは近くの隊士に合流しまずひとりを粛清することに専念することにした。

私たちが加わったところには元新選組隊士だった毛内有之介がいた。

10人ほどに囲まれながらも自分の刀を離すことなく、どこの位置からも一定の距離がとれるように常に真ん中にいる毛内に少しずつ隊士が歩みを進め、間合いを詰めていった。

毛内の刀と囲んでいる隊士の刀がぶつかるほどまで間合いを詰められても毛内は慌てることなくにらみを利かせていた。

そして毛内の正面に立っていた隊士が自分たちの刀で毛内の刀を抑え込み、それを振り切らない限り、太刀打ちするすべを失うという状況まで追いこんだ。

あとは一太刀浴びせれば斬れる、誰もがそう思い自分の持っている刀を今一度強く握りなおした。

「行け!」

斎藤先生のその短い合図で周りを囲んでいた隊士は一斉に刀を毛内に向け振りかざした。

力を込めて振りかざされた刀は毛内の身体をたやすく切断し、その場に人間だったもの、肉の塊が何個かできた。

周囲を囲まれ一斉に刀を振りかざされたため、毛内の身体はいくつにも分かれてしまったのだった。