視界の片隅に逃げる藤堂先生を捉え、私は無事に逃げられたのかと安心した。

しかし次の瞬間、藤堂先生は悲鳴を上げその場に倒れたのだ。

その様子を見た斎藤先生と私、そして藤堂先生をわざと逃がした永倉先生と原田先生は目を疑った。

なぜ、倒れるのかと。

彼はこのまま逃げられるはずだったのに、と。

倒れた藤堂先生の近くにいたのはだんだら羽織を着た新選組隊士だった。

藤堂先生をわざと逃がしたと知らなかった彼は逃げた藤堂先生を追いかけ、背中を大きく自分の刀で斬りつけたのだった。

その傷はかなり深かったらしく藤堂先生はほぼ即死だった。

今更後悔しても遅かった。

今回、藤堂先生を逃がすと知っているのは近藤先生、土方先生を除きわずか5人だけで、残りの隊士は知らなかった。

近藤先生はあえて言わなかったのだが、これが裏目に出たのだった。

何も知らない隊士は逃げた藤堂先生を追い、御陵衛士を粛清するという命令に忠実に従っただけだった。

藤堂先生の予想外の死に私たちは驚きを隠せなかったのだが、ここで感傷に浸っている時間はなかった。

今もまだ新選組と御陵衛士の戦いは続いており、5人となってもまだ御陵衛士の戦力は落ちていなかったのだから。