「杉崎さん、あれ怖いねー。
今の一君の表情と同じくらい怖いね。」

そう言って私が刀を飛ばした方にいた審判をやってくれていた沖田先生がなぜかにこにこしながらやってきた。

「あの、沖田先生すみませんでした!
お怪我はありませんか?」

「飛んできた刀にあたるほど、俺は間抜けじゃないから心配しなくても大丈夫ですよ、杉崎さん。

でも、一君の言うとおり、あれはやめてくださいね。

万が一にでも新入隊士の方に飛んでいったらよけられないでしょうし。」

沖田先生の口調と表情は優しかったが、怒っているのだ。

私が真剣を飛ばしたことに。

「もう、絶対にやりません。」

「うん、わかってくれればいいんだよ。
ほら、一君ももうそんな顔をしないの。

杉崎さんもちゃんと後悔しているんだから。

それにこれは一君も悪いよ。
真剣でやろうって言いださなかったら杉崎さんもここまで本気にならなかっただろうから、一君の刀を飛ばそうなんて思わなかっただろうし。」

沖田先生はまだ鬼のような表情をしている斎藤先生の方を向いて最後に言葉を付け加えた。

「杉崎、二度とやるなよ。

もし、お前が危ない目にあってたら俺や総司が必ず助けに行くから、俺たちは本当の仲間を見捨てるほど薄情じゃないから俺たちを信じろ。」

その言葉に沖田先生も大きく何度もうなずいていた。

「俺にはまだまだ斎藤先生の背中を預けてもらえなそうですね。

でも、ここに入れてよかった。
怖いけど優しい斎藤先生や、いつも優しい沖田先生がいるここに。」

この後斎藤先生に「お前は一言余計なんだ」と言われ、げんこつを食らってしまったが…