まるで、時間の境い目も昼も夜もないほど、躰を繋げ合った。乾いたら飲んで、空いたら食べて、疲れて眠って、溶かされ続けた。ベッドでもどこでも隆二の虜だった。

「梓」

声に、微睡みかけのあたしは薄っすら瞼を開いた。

「これあげる」

何度か瞬き、次第に焦点が合う。大きさはちょうどドロップくらい。隆二の指先に摘ままれたそれは、ひときわ紅く澄んだ煌めきが鮮やか。

お母さんと行った宝石店で、成金マダムがしてそうな大粒の首飾りは見たことあったけど。眠気も消し飛んで目を見張った。

「ルビー・・・なの?」

「パワーストーンだって言うからお守り代わり」

受け取った掌で艶めく一つの石。7月の誕生石。