エアコンの涼風と手渡たされた冷たいミネラルウォーターで、湯上りの火照りを冷ます。ソファに投げ出した躰はほんのり気怠い。でもあたしの一日はこれからが本番。

隆二が迎えに来るまでに済ませたい家事も詰まってる。グラスをリビングテーブルに戻すと、黙って脇に控えてる志田に自分で切り出した。

「なんか用があるんでしょ?早く言って。お説教なら聞かないから」

クッションを抱えて座り直し、きっぱりと。

こんな風に話らしい話をするのは電話で言い合った以来。思春期の頃も、門限だとかあれこれ鬱陶しくて、わけもなく反抗したっけ。だからって嫌いにもならずに、いつの間にか元さやに戻るんだから不思議よね。

目線は素っ気なくテレビ画面に向けたまま、耳をそばだてるあたし。
間を置き、淡々とした口調で返った。

「あさっての誕生会ですが」

無意識に反応して温度のない目とぶつかる。

「若はお嬢を帰しはしませんよ。・・・それも承知で、のこのこ来るつもりですか」