罪悪感を少しでも晴したいエゴで言ったようなもので。あざとさを閻魔様に嘲笑(わら)われた気がする。悔やめ、・・・って。

一瞬、(くう)を仰ぎ。神妙に言った。

「・・・じゃあ甘えさせてもらっていい?今度なんかおごるから」

『やった。期待してます~』

星は見えないあたしがどんな表情(カオ)だったかも知らず、屈託なく電話を切った。

乾ききった口の中にじわり苦みが広がってく。その後味を残したまま、避けるわけにいかない相手に電話をかける。いつになく長い呼び出し音に胃が引き()れる思い。

『・・・お嬢の尻拭いが仕事じゃないんですがね』

繋がるなり抑揚のない響きが鼓膜を突き抜けた。一切の感情が削がれた、こんなに冷たい志田の声は初めてかもしれない。

『二度はありませんよ。男にうつつ抜かして無断欠勤する人間を雇うのはバカらしいでしょう』