隆二の背中には龍(りゅう)がいた。 墨絵みたいな猛々しい龍。 今にもそこを抜け出して天に昇りそうな。 あたしも何度もソコに連れていかれそうになっては。 引き摺り降ろされ。 また押し上げられ。 どうにかなりそうで。 怖くて泣いた。 目から。 口から。 色んなものが流れ出て。 その分、埋め尽くされて。 先に昇りつめて抜け殻のあたしを。 隆二は大事に抱き潰した。 ハチミツの海に沈めて、 どこにも行けないように。