悪びれずに笑いながら、隣りに立つあたしの肩を抱き寄せ、流し目。

「伊沢さんは淳人も知ってるし、頼りになる」

「ここは駆け込み寺じゃねぇぞ」

うんざり気味な溜め息が洩れ聴こえて交互に見やれば。短髪で、お兄の顔立ちをちょっと濃く、輪郭はシャープにしたみたいな四十過ぎくらいのイケオジと目が合った。

作務衣風な板前服を着てるとそうは見えないけど。どんなに静かな眼をしてても嗅ぎ取れてしまう。お兄や柳さんと同じ空気(におい)の名残を。

「・・・梓お嬢さんのことは淳人が箱入りにしてると聞きましたが」

不敵に笑み零され、思わず見惚れる。

隆二(りゅうじ)で構わないんで?」