このままずっと伏せっている訳にもいかず俺はゆっくりと頭をあげた。

 すると飲みかけだったカクテルが新しいものに変っていた。

 思わずマスターを見やる。
 マスターの手にも同じカクテルの入ったグラスが握られていた。


 にっこりと笑いながら俺にグラスが向けられる。 


「ハッピーバースデー」


 その祝いの言葉に俺は促され新しくなったグラスの足を持つとありがとうと並々と注がれたカクテルを溢さないように乾杯した。



 十二月二十六日が始まる。

 そして俺の『凛ネェ』の居ない二十一歳も始まった。