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「どこへ逃げたって一緒でしょうにねぇ」


　あっけらかんと、まるで子供の可愛い悪戯に付き合わされた親のような口調で彼女が呟く。


　その彼女の視線の先にあるのはリビングの真ん中に鎮座する32インチの液晶テレビ。

　そこに映っているのは罵声を受けながらそれに顔色変えず真っ白な宇宙船『NOA』に乗り込む宇宙服を着込んだ人たちだ。


　画面右下のテロップには『地球脱出!?太陽調査団の真相！』という文字が躍っていた。


　５ヶ月間の間、世間にこの事が報じられなかったのは時間稼ぎだ。

　この５ヶ月間に世界中の有力者たちは貯め込んだ巨額の資金を惜しみなく使い、地球から脱出するための宇宙船に注ぎ込んできた。


　きっとこの太陽調査団とやらもそのクチで調査団に見せかけた金持ちの悪足掻きだろう。