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トイレで用事をすませて出てくると、やけに大きなダンボールを3つも抱えた男子生徒がこちらへ向けて歩いてきていた。


他のクラスの生徒みたいだけれど、ダンボールのせいで顔も体もほとんど隠れてしまっている。


あたしは邪魔にならないように廊下の端に身をよけた。


男子生徒は右に左によろけながらどんどん近付いてくる。


一旦トイレに戻ってやり過ごそうか。


そう思って体を反転させてみると数人の女子生徒たちがトイレの前でおしゃべりをしていた。


その場をどけるつもりはないようで、大きな笑い声が響いている。


「ねぇ、ちょっとよけてくれない」


仕方なく、男子生徒に声をかけた。


しかし、その声は聞こえないようで男子はどんどん近付いてくる。


「ねぇってば!」


大きな声を出すとトイレの前の女子たちが気がついて視線を向けてきた。


それなのに、男子は気がつかない。