陸への恐怖は思ったよりも大きなものになった。


それならきっと、あたしへの損失も大きくなっているはずだ。


「でも、復讐する相手は沢山いるんだよ?」


「4人全員ってことでしょう? わかってるよ。だからこそ慎重にならなきゃ」


一気に復讐したい気持ちもわかるけれど、それだと途中で感づかれてしまうかもしれない。


あくまでも自然に、周りに気がつかれないようにやらなきゃいけない。


「そうかもしれないけど……」


夢はやっぱり不服そうな顔をしている。


「あたしがアプリを持ってればなぁ」


と、小さな声で呟くのが聞こえてきた。


自分がアプリを持っていれば、きっとあたしの気持ちがわかるはずだ。


そう思ったが、口には出さないでおいた。


「ごめん、ちょっとトイレ」


そう言い、あたしは教室を出たのだった。