それでも陸はやめなかった。


無理やり立たせて突き飛ばす。


それを遊びのように何度も何度も繰り返したのだ。


当時の出来事を思い出して苦いものがこみ上げてくる。


もちろん、これと似たようなことを夢もされてきた。


「陸は許せないよね」


見ると夢の表情は険しくなっている。


あたしは頷く。


「どんな恐怖を与えるのかは靖子に任せるよ。損失を負わされるのは靖子だから」


その損失さえなければ、どれだけ相手に恐怖を味わわせることができるだろうか。


そう思うが、決められたことなのだから仕方なかった。


「わかった」


あたしは大きく頷いたのだった。