深刻な私とは反対に、「なに言ってんの?」と言わんばかりのきょとん顔をする善。
「説得できる自信しかない」
「……」
「凛李への愛を話せばいいだけなら超簡単じゃん」
善は後ろに両手を伸ばし、「足し算できるよ」と言うのと同じ感じでサラッとそう言ってのける。
そのせいでいとも簡単に体温を高くできちゃう私の体。
「お風呂、入ってこようかな……」
真っ赤になってるであろう顔を見られたくなくて、私はベッドから立ち上がろうとした。
ーーが、それが叶うはずもなく。
「キャッ……」
善に腕を引っ張られたことによって、私は後ろ向きのままベッドへと倒れ込んだ。
すぐ横には善がいて、まだ私の腕をつかんだまま離さない。
善は座っていて私は寝転んでいるため、善に見下ろされている。
「どこ行くの」
「どこって、お風呂」
「俺を置いて?」