善はお父さんより背が高いはずなのに、このときだけはなぜか小さく見えた。

まさか、お父さんが私に対してそんなことを思ってくれていたなんて……。
今まで話したことがなかったら、すごく変な感じがする。
けど、私の気持ちをわかってくれていたんだと思うと……さみしかった幼いころの自分が少しは報われる気がする。



「もちろんです」

「泣かさないでくれ……なんて言えるほど凛李との時間は濃くないが、父としてのお願いだ。これからは凛李が涙より笑顔のほうが多くなってほしい。そのために善くんは凛李を支えてくれるかな?」

「……俺も、凛李の涙より笑顔のほうが見たいです。これからも凛李さんを大切にします」



お父さんは「それならもう言うことはない。私はまだ仕事があるから、部屋に戻ってるな。どうぞゆっくりしていってください」と言って、自分の部屋へと戻っていった。



「善、あなた離れてる間にずいぶん成長したんじゃない? そんなこと言えるようになったの?」



善の言葉を聞いて感銘を受けたらしい善のお母さん。