「あのさ……なんでそんなに見てくるの?」

「食べ方がきれいだなぁと思って」



さすがに気になり居ても立ってもいられなくなった私は聞いてしまった。

……人に初めて食べ方を褒められた。

素直に……うれしい……。



「柊木くんも……食べ方きれいだったよ」

「母親がマナーにうるさい人だから」

「そうなんだね」

「俺、今気づいた」

「え……?」



柊木くんはそう言うとお皿を持って立ち上がり……。



「仕草がきれいな人って好きかもしれない」



それだけ言い残し、お皿を流し台に戻したあと、そのまま自分の部屋へと戻っていった。


1人リビングに残された私。

どういうこと……?

私の食べ方がきれいだと褒めて、そのあとに仕草がきれいな人は好きかもって言ったよね?

え?好き?

いやいや、私のことが好きとは一言も言ってない。

勘違いするな私、もてあそばれるな私。

こんなややこしい人好きになってはいけない。

……好きになるはずがない。