「王子様気取りかよ」
「そうだよ。凛李だけの王子様だから」
私たちの様子を見ていた生徒たちが善のこの言葉に「キャー‼︎‼︎」と叫ぶ。
秦くんは鼻で笑い、善をにらんだ。
「そんな威勢張ってて、早く別れたときが見ものだなっ」
「なに言ってんの。凛李のこと離すつもりないから」
「……なっ……」
「余計なおせわ。とりあえず俺たちの前に現れんな」
甘い言葉を言ったかと思えば、最後は低い声で圧力をかける善。
秦くんもさすがにこれ以上はなにを言ってもダメだと思ったのか、逃げるようにその場から去っていった。
残された私と善。
「今日も助けてもらっちゃったね、ありがとう」
「うん。でも、凛李よくがんばったね」
「私?」
「言いたいことを吐きだせたほうが凛李も前に進めるかなと思って、しばらく見守ってたんだよね」
「そうだったの⁉︎ じゃあ、タイミングを見計らって来てくれたんだ?」
「そう。ナイスタイミングだったでしょ」