「ほら、俺たちのほうがお似合いだって」



それはもちろん秦くんにも聞こえていて、うれしそうに話す。



「私の気持ちを正直に話すね」



もう終止符を打ちたい。
私の中のトラウマは、徐々にうすくなっている。
秦くんと再会した今のほうが、もう夢には出てこなくなった。
……たぶん、善という存在が私の中でさらに大きくなったからだと思う。

もう過去は気にしない。
私の人生は私の好きなように生きると決めたんだーー。



「秦くんとはたしかに勉強の面では話が合うかもしれない。でも、それだけ。いっしょにいて楽しいと思ったことはない」

「……」

「昔私の容姿のことを悪く言ったのはウソだって言ったけど、それを今さら言われてもあのとき傷ついた私はもう変えられない。あのときの傷を消すことはできない」

「……」

「だけど、もう忘れる。そのままの私を好きになってくれる人がいるから、私の気持ちを尊重して応援してくれる人がいるから」

「……」

「第三者になにを言われてもいいの。私と善の問題だから。善となら、これからも傷ついたり辛くなったりするとしても、それを乗り越えていこうと思えるの」

「……」

「私の幸せを秦くんに勝手に決めないでほしい。私は生きてきて今が1番幸せ」

「……」

「……だから、ごめんなさい。もう私に関わらないでください」