座って待っていると、突然誰かに肩を叩かれた。

今度はなに……?
善だと思って呆れた顔で振り返るとーーそこには、しゃがんでいる秦くんがいた。

どうして秦くんが?

となりに座っている善はというと、秦くんを真顔で見ていた。



「ちょっと、話いいかな」

「……わかった」



みんながいるこんなときにわざわざ呼び出すなんてなにを考えているの……?
いやな予感がしながらも、とりあえず私は秦くんのあとをついて行った。

体育館の1番後ろまで来た私たちは向かい合う形で話すことにした。



「いきなりごめん。若菜の正直な気持ちを聞きたいなと思って」

「正直な気持ち?」

「柊木と付き合ってることがバレていろいろ大変だっただろ? これからもこんなことが毎日続くなんて辛いよ」

「……それは、秦くんが決めることじゃない。ていうか、やっぱり秦くんが写真を撮ってうわさを広めたんだね」

「若菜に気づいてほしかったんだ。あとから傷つくより今傷ついて知ったほうがいいと思ったんだよ」



秦くんがバラしたんだとわかってはいたけど、いざこうして本人の口から聞くと太い矢が胸の奥に刺さる感覚におちいる。