善は「ゴミ」と私にしか聞こえないくらい小さな声でつぶやいて、私の髪の毛からとったであろう白いゴミを私に見せた。
「ありがとう」
声を出したところで劇で大きな声を出しているため、そんなに影響はないだろうと判断し、私は小さな声でお礼を伝えた。
それでも、善はまだ私から視線をそらそうとしない。
善のクセなんだろうけど、人のことをジッと見るのはなかなかな威力があるから頻繁にはしないでもらいたい……。
じゃないと、本当にいつか私の顔に穴が開くか、心臓が破裂するかのどちらかが起こる気がする。
「まだなにかついてる?」
「ううん」
「じゃあ、なに……」
「ただ見てただけ」
善はそう言って小さく笑い、今度は前を向いた。
み、見てただけって……。
それがどれだけ私をドキドキさせるのか、この男はわかってないのか?
いや、わかってるからわざとそんなことをしてくるのか?
変に善にドキドキさせられ、私はそのあとの学年集会を過ごした……。
それから15分ほどで劇も終わり、学年集会が終了した。
クラスごとに教室へ戻ることになり、順番がくるのを待っていた。