……そもそも会長は、本心で言ってるのかな。
もしかしたら川西先輩の作戦かもしれない。
台本があって、それを読んでいるだけ。
会長は私を雑用係にする気なんてないし、勉強を教えるなんてのも、本意じゃなくて……。
わたしがごちゃごちゃ考えて、何も言えずにいると。
『自分を変えたくないのか?』
ふと、会長も、川西先輩も、誰も声を発してないのに、そんなふうに言われたような気がした。
ううん、岸会長の鋭い目が、そう言っている。
わたしは恐る恐る、口を開いた。
「……そうすれば、マンガアニメ同好会は、なくなりませんか」
「それはお前次第だけど、俺はその手助けはしてやれる。……お前が俺の専属の雑用係なら、俺もお前の専属だ」
どくんって、大きく心臓が鳴る。
まるで、入学式にはじめて会長の声を聞いたときみたいだと思った。
「せんぞく……」
目の前にいるのは、この学校の生徒の一番上に立つ、生徒会長。
性格が悪くて、外面だけよくて、だけどその目は、まっすぐで。
「会長……本当ですか?」
「……もう、お前には全部知られてる。今更お前に、ウソはつかない」
演技かもしれない。そう思うのに、うなずいてしまう、私がいた。