「真翔、話がある。」皆との話し合いが終わったあと、私は真翔を呼び出した。
青竜との戦いの前に言っておきたかった。
「どうしたの?華月姉?」
家の中のカフェスペースで話をすることになった。
「座ってよ。」
「うん。話って?」
「…前に真翔言ってたよね、『俺は姉さんの本当の弟じゃない。副総長なのも姉さんの弟だからだ。』って。」
「……あぁ、それか。だってその通りだろ。」
真翔は傷ついたような顔をしていた。
こんな顔、させたくないのに。
「そんなことない、むしろ私は真翔に謝らなければならない。」
「…は?」
「八年前、私のお母さんが死んだ時に真翔は引き取られたのは知ってるよね?」
「…うん。知ってる。覚えてるよ。」
「…なんでだと思う?」
「…さぁ?寂しかったから?」
違うんだ、もっと、もっと残酷な理由。
「会社か、麗龍を継ぐ人間が必要だったから。」
このことは一生言わないでおこうと思っていた。言ったら、真翔が傷つくのは目に見えていたから。
でも、言うしかないと思った。言わないのは、もっと真翔を傷付けることにつながると思ったから。
「…そうか。結局跡継ぎ要員か。」
「…だから申し訳なくて……。
他の人に引き取られていたら、もっと平凡な幸せな人生を送れていたかもしれない。
それなのに、こんな汚い世界に連れ込んでしまったのは、私と父の責任。」
「…そんなことない。俺は幸せだよ。
たとえ血が繋がってなくても、姉さんは俺の自慢の姉だ。
それに、平凡な人生なんてつまらないだろ?」
こうやって笑ってくれるのは真翔のいいところだ。
私は真翔のそういうところが大好きだ。
「…そう言ってくれてありがとう。」
私は真翔の言葉に思わず涙が出てしまった。泣かないって決めていたのに…
「私は、真翔に麗龍を継がせる気はない。」
これだけは譲れない。ずっと前から、私が自我を取り戻してからずっと思っていたこと。
「…どうして?危険な世界だろ?姉さんなんかより俺が継いだ方が…」
真翔は勢いよく机を叩き、私の方へ迫ってくる勢いだ。
「…だからだよ。死なせるわけにはいかない。
真翔の本当の親に顔向けできない。」
「…結局俺は他人の息子かよ……」
真翔は辛そうな顔をして吐き出した。
「…だけど、だけど!」
「なんだよ。」
「…真翔さえ良ければ、『Crystal』を継いで欲しい。」
「は…?」
「会社を継ぐことは大変なことだってわかっている。
自由な生活をおくれないだろうし、常に世間から注目されて精神的に疲れるだろう。
それでも、真翔に継いでもらいたい。」
「…なんで?」
「真翔は自分が実力ない、って思ってるけど、そんなことはない。
喧嘩の腕は私に次いで日本四位。
それにT大に受かるレベルの学力。
私と同じく英語、韓国語、ロシア語、フランス語が喋れる。
それだけでもすごいのに、真翔は誰よりも人のことを思って行動できる優しい人だ。
それに、何時でも合理的な判断ができる。だからぴったりだと思う。」
「…でも俺は他人だろ?そんな人間が『Crystal』を継いでもいいのか?」
「真翔だから頼んでいる。真翔以外の人間に『Crystal』は継げないと思う。」
「……継げるなら…継がせてくれるなら、俺は『Crystal』を継ぎたい。
今以上に大きな会社にしてみせる。」
「…ありがとう、真翔。麗龍には今まで通り所属して貰いたい。
大学に入ったらそっち優先で構わない。
そして大学卒業と同時に麗龍を引退しろ。」
「…あぁ、分かった、姉さん。それまでに青竜を潰そう。」
真翔は優しく笑った。私はこの笑顔を守るために戦わなければならない。
「うん。」私も微笑み返して、お互いの部屋に戻った。
青竜との戦いの前に言っておきたかった。
「どうしたの?華月姉?」
家の中のカフェスペースで話をすることになった。
「座ってよ。」
「うん。話って?」
「…前に真翔言ってたよね、『俺は姉さんの本当の弟じゃない。副総長なのも姉さんの弟だからだ。』って。」
「……あぁ、それか。だってその通りだろ。」
真翔は傷ついたような顔をしていた。
こんな顔、させたくないのに。
「そんなことない、むしろ私は真翔に謝らなければならない。」
「…は?」
「八年前、私のお母さんが死んだ時に真翔は引き取られたのは知ってるよね?」
「…うん。知ってる。覚えてるよ。」
「…なんでだと思う?」
「…さぁ?寂しかったから?」
違うんだ、もっと、もっと残酷な理由。
「会社か、麗龍を継ぐ人間が必要だったから。」
このことは一生言わないでおこうと思っていた。言ったら、真翔が傷つくのは目に見えていたから。
でも、言うしかないと思った。言わないのは、もっと真翔を傷付けることにつながると思ったから。
「…そうか。結局跡継ぎ要員か。」
「…だから申し訳なくて……。
他の人に引き取られていたら、もっと平凡な幸せな人生を送れていたかもしれない。
それなのに、こんな汚い世界に連れ込んでしまったのは、私と父の責任。」
「…そんなことない。俺は幸せだよ。
たとえ血が繋がってなくても、姉さんは俺の自慢の姉だ。
それに、平凡な人生なんてつまらないだろ?」
こうやって笑ってくれるのは真翔のいいところだ。
私は真翔のそういうところが大好きだ。
「…そう言ってくれてありがとう。」
私は真翔の言葉に思わず涙が出てしまった。泣かないって決めていたのに…
「私は、真翔に麗龍を継がせる気はない。」
これだけは譲れない。ずっと前から、私が自我を取り戻してからずっと思っていたこと。
「…どうして?危険な世界だろ?姉さんなんかより俺が継いだ方が…」
真翔は勢いよく机を叩き、私の方へ迫ってくる勢いだ。
「…だからだよ。死なせるわけにはいかない。
真翔の本当の親に顔向けできない。」
「…結局俺は他人の息子かよ……」
真翔は辛そうな顔をして吐き出した。
「…だけど、だけど!」
「なんだよ。」
「…真翔さえ良ければ、『Crystal』を継いで欲しい。」
「は…?」
「会社を継ぐことは大変なことだってわかっている。
自由な生活をおくれないだろうし、常に世間から注目されて精神的に疲れるだろう。
それでも、真翔に継いでもらいたい。」
「…なんで?」
「真翔は自分が実力ない、って思ってるけど、そんなことはない。
喧嘩の腕は私に次いで日本四位。
それにT大に受かるレベルの学力。
私と同じく英語、韓国語、ロシア語、フランス語が喋れる。
それだけでもすごいのに、真翔は誰よりも人のことを思って行動できる優しい人だ。
それに、何時でも合理的な判断ができる。だからぴったりだと思う。」
「…でも俺は他人だろ?そんな人間が『Crystal』を継いでもいいのか?」
「真翔だから頼んでいる。真翔以外の人間に『Crystal』は継げないと思う。」
「……継げるなら…継がせてくれるなら、俺は『Crystal』を継ぎたい。
今以上に大きな会社にしてみせる。」
「…ありがとう、真翔。麗龍には今まで通り所属して貰いたい。
大学に入ったらそっち優先で構わない。
そして大学卒業と同時に麗龍を引退しろ。」
「…あぁ、分かった、姉さん。それまでに青竜を潰そう。」
真翔は優しく笑った。私はこの笑顔を守るために戦わなければならない。
「うん。」私も微笑み返して、お互いの部屋に戻った。